エスト・ウェストオークションズ株式会社との訴訟上の和解についてお知らせします。
平成23年9月20日付朝日新聞に掲載された記事について、多くの方からご意見とご質問を頂戴いたしました。これらを受けまして、今件に関する当社の見解を発表させて頂きます。
和解の概要
当社とエスト・ウェストオークションズは、平成23年3月、知的財産高等裁判所において訴訟上の和解をしました(事件番号:知財高裁平成21年(ネ)第10079号)。
和解の主な内容は、①エスト・ウェストオークションズの主宰するオークションに当社所属アーティストの作品が出品される場合、著作権法第47条の2で許容されているサイズを上回るサイズの作品画像をオークションカタログ等に掲載することを許諾すること、②作品が落札された場合、エスト・ウェストオークションズは当社に対して、画像掲載の許諾料として落札価格の1~3%を支払うことなどです。
和解の目的
このような内容の和解を成立させることとした理由は、以下のとおりです。
欧米諸国では、美術作品が転売される度に、転売価格あるいは利益の一部をアーティストが請求できるという法制度が採用されています。この権利のことを「追及権」と呼びます。
小説家や音楽家は自分の本やCDが一部売れる度に印税を受け取ることができますが、美術作品は本やCDのように大量に複製されるものではなく、アーティストは作品を最初に販売する際に一度だけ対価を得ることができるに止まります。その後にオークションで高額で落札されたとしても、利益を得るのはオークションハウスと出品者だけで、アーティストには一切還元されません。そのため、欧米では、美術作品については、転売される度に、アーティストもその利益の一部を受け取るべきだという考え方から、追及権制度が採用されています。
わが国のアートシーンを盛り上げていくためには、わが国にもアーティストに創作の糧となる利益を還元する仕組みを導入する必要がありますが、この点でエスト・ウェストオークションズと考えが一致したことから、追及権制度と同様の内容の和解を成立させるに至りました。
当社は、この和解すなわち追及権制度と同様の仕組みが広く他のオークションハウスおよびアーティストの間に普及・定着し、最終的には法制化されることを望んでいます。